里見、初代クイーン王座に 第11期リコー杯女流王座戦五番勝負を振り返る

里見、初代クイーン王座に 第11期リコー杯女流王座戦五番勝負を振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2021年12月15日

 西山朋佳女流王座に里見香奈女流四冠が挑戦した第11期リコー杯女流王座戦五番勝負。3期連続の激突だ。

第11期リコー杯女流王座戦五番勝負第1局

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写真:生姜

 第1局は東京都文京区「ホテル椿山荘東京」にて。珍しい形の相振り飛車から里見が端で手を作ることに成功。ペースをつかむが、西山も粘り強い指し回しで決め手を与えず、形勢の揺れ動く熱戦となった。

【第1図は▲3四銀まで】

 先手玉に詰みありと見て、△6五銀▲同桂△4四桂と王手をしたが、▲4六玉△6八角成▲5七香△4七竜▲同玉△3六銀▲3八玉で際どいながら詰みはない。同じ桂を取るのならば△9四銀とこちらを外す方が良かったようだ。熱戦を制して里見が先勝。

第11期リコー杯女流王座戦五番勝負第2局

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写真:常盤秀樹

 第2局は神奈川県横浜市「ヨコハマ グランドインターコンチネンタルホテル」にて。第1局同様相振り飛車となり、今度は西山が端から先攻する。

【第2図は▲9五飛まで】

 後手は一方的に攻められていて、何はともあれ9筋の処置を考えたいところだが、ここで里見の目が光る。△3五桂が鋭い反撃で、▲9九香に△2七桂成▲同銀△同飛成と踏み込む手が狙い。▲同玉は△4九角から詰んでしまうので▲3九玉よりないが、そこで一転△7一玉と受けに回る。以下先手も後手玉に迫っていったが、条件が整ったところで後手が詰ましに出て先手玉を討ち取った。好防に切れ味を見せた里見が連勝。

第11期リコー杯女流王座戦五番勝負第3局

 第3局は神奈川県秦野市「元湯 陣屋」にて。本局もまた相振り飛車になるかと思いきや、先手の里見は中飛車から玉を左へと囲った。研究十分をうかがわせる早さで、形勢も里見がペースをつかむ。

【第3図は△3六角まで】

 図は1四の角を3六に出たところ。▲4一竜と活用を急ぐのは△6九角成から△1四角がある。5四の銀にも当たっていて難しい局面だが、▲7七銀が落ち着いた一着だった。△5四角と2枚の桂にヒモを付けながら銀を拾ったものの、▲4一竜が次の▲6二金の寄せを見て厳しい。△5二銀には攻めが細くなったので、▲4六竜とゆっくり指して金得の先手が勝勢だ。

 里見が圧巻の3連勝で女流王座に復位。通算5期目の獲得により、初代クイーン王座の資格も得ることになった。秋は女流王将戦、清麗戦、倉敷藤花戦、女流王座戦と4つのタイトル戦を同時に戦うハードスケジュールだったが、清麗を加藤に奪われたものの、残りの3つを勝って五冠になった。一方の西山は白玲の座に就いたものの、女流王将、女流王座と立て続けに奪われて二冠に後退。2022年も両者のタイトル戦は続くだろうが、どうなるだろうか。

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写真:日本将棋連盟

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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